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分野
放射線の健康への影響を評価する際、実効線量と等価線量をどのように使い分けるのですか。
答え 全身の発がんなどのリスクを推計する場合は、実効線量を用います。特定臓器への影響を評価する場合は等価線量を用います。

全身をほぼ均等に被ばくした場合のリスクを考える場合には、実効線量を用いますが、小さな線源の間近で被ばくした場合や、被ばく線量が臓器・器官によって大きく異なる場合には、全身を対象とした実効線量では影響がわかりにくいときがあります。その場合は線量が集中する臓器・組織の等価線量を用います。
外部被ばくについては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の第20条第2項では、放射線作業従事者の外部被ばくを測定する際に体のどこに測定器をつけるべきか記載されています。実効線量を求める場合は胸部(女性は一部を除いて腹部)の1cm線量当量を、外部被ばくによる線量が最大となるおそれのある部分がそこから大きく外れる場合はその部分を調べることになっています。その際、皮膚の等価線量(中性子線を除く)も一緒に調べるために、70μm線量当量も調べることになっています。
内部被ばくについては、一般に実効線量(預託実効線量)が用いられますが、骨親和性をもつ放射性ストロンチウムを短期間に大量摂取した場合の内部被ばくの場合、骨髄の等価線量が用いられ、放射性ヨウ素の場合は甲状腺に特異的に濃縮されて物理的半減期も短いため、たいていの場合、甲状腺の等価線量が用いられます。
なお、内部被ばくの線量係数を用いて実効線量を計算するときは、放射線の種類(γ線、β線、α線、中性子線等)、線源の核種等のパラメータは、線量係数注1を評価する段階で考慮されており、健康影響を評価する際に再度考慮する必要はありません。

注1:「線量係数」とは、放射性物質の単位摂取量(Bq)当たりの線量(Sv)のことを示す。
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作成日 2019/02/28
更新日