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大分野 影響(生体応答・生物影響・健康影響を含む)
中分野 分子レベルの反応
タイトル 放射線応答/原子核応答、核応答
説明 生体には、物理的な刺激である放射線に反応して動き始めるシステムがあり、放射線が生体(細胞)を通過することによって開始される一連の連鎖的な反応が放射線応答である。この連鎖的な反応には4過程あり、①物理・物理化学的過程、②化学的過程、③生化学的過程、④生物学的過程に分けられる。
物理的過程は放射線の飛跡にそって起こる生体構成原子・分子の電離と励起である。この物理的相互作用によって物理・化学反応が誘導された後、生化学的過程を経て最終的な生物学的過程が惹き起こされる。物理学的過程は10-15秒で起こるが、最終段階である生物学的過程は、時間から年、世代の単位で現れる。
化学的過程では、放射線と水(生体内の約80%を占める)との相互作用の結果、水分子が電離されて・OHラジカルを生成する。また、水和電子(e-aq)、・Hラジカルなども生じる。その後、過酸化水素(H2O2)、水、水素分子を生じる。こうしたラジカル分子が近接(2nm以内)にある標的分子と反応して化学的修飾を起こし、損傷を作る。放射線は直接的にDNAを傷つけてDNA損傷を惹き起こす一方で、水の分解を経て、その分解生成物を介して間接的に障害を誘起する。その結果、標的分子ラジカルが生成し、これらが更に化学反応を繰り返して損傷分子を生み出す。こうした障害がシグナルとなって、DNA損傷修復、抗酸化能の活性化等を惹き起こす。
生化学的過程では、放射線によって誘起こされたDNA損傷が起点となって、それを感知してシグナル伝達に続く細胞応答の分子機構が働く。DNA損傷シグナルの伝達系では、転写、タンパク質発現制御、細胞周期チェックポイント、DNA修復アポトーシスなど様々な状況に応じた細胞の反応(生体の防御能)が惹き起こされる。こうした過程を経て、最終的な生物学的過程が誘起される。
生物学的過程では、バイスタンダー効果細胞死染色体異常遺伝子突然変異、発がん、個体死、遺伝性影響などの細胞・組織障害や全身障害が現れる。放射線被ばくの状況によっては、放射線抵抗性の適応応答現象が見られる場合もある。
キーワード
図表 図:各過程で現れる事象を時系列的に示したもの
参考文献 日本生物物理学会
https://www.biophys.jp/highschool/E-18.html
参照サイト
作成日 2017/10/16
更新日