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大分野 影響(生体応答・生物影響・健康影響を含む)
中分野 分子レベルの反応
タイトル 適応応答
説明 予め低線量(0.02から 0.1Gy程度)の放射線被ばくした細胞・個体がその後の照射に対して抵抗性を示す現象。姉妹染色分体交換、染色体異常生存率突然変異形質転換や発がん(個体)などを指標として報告されている。適応応答が発現されるまでに数時間を要し、その間に遺伝子の発現と、タンパク合成が必要とされる。細胞の場合、観察対象にもよるが適応応答を誘導する線量には閾値があり 0.1Gyを超えると効果が減じ、照射後24時間程度で誘導された抵抗性は失われる。PKC(プロテインキナーゼC)の活性化剤で同様の効果が見られることから、細胞内情報伝達系の関与が示唆される。
適応応答現象は、低線量被ばくでは検出しにくい生物影響が、後に高線量被ばくした場合に低線量被ばく処理をしていない場合との比較で明らかに差が現れることから、低線量被ばくでの生物影響を浮き上がらせる効果ともいえる。ただし、このような現象が見られるのは限定された条件(遺伝性要因、被ばく線量、線量率、低線量照射と高線量照射の時間間隔等)にとどまっており、その分子的機構はいまだ解明されていない。このような適応応答現象には、DNA修復能や活性酸素除去能の活性化が関係していると考えられている。
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図表
参考文献 ・Seymour,C. et al.,High Yields of Lethal Mutations in Somatic Mammalian Cells that Survive Ionizing Radiation, Int. J. Radiat. Biol. 50,167-179 (1986)
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09553008614550541
・Sasaki, S., On the Reaction Kinetics of the Radioadaptive Response in Cultured Mouse Cells, Int. J. Radiat. Biol. 68, 281-291 (1995)
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09553009514551211
参照サイト
作成日 2017/10/16
更新日