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大分野 | 線源(計測・評価を含む) |
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中分野 | 線量・単位 |
タイトル | 周辺線量当量 |
説明 | 周辺線量当量(ambient dose equivalent)は、場所をモニタリングするために国際放射線単位測定委員会(International Commission on Radiation Units and Measurements: ICRU)が導入した実用量(operational quantity)である。 線量限度を定めている防護量(protection quantity)である実効線量は人体中の各臓器・組織の等価線量の加重和として定義されているため、人体中の多数の臓器・組織の線量を計測する必要がある。日常の放射線管理においてこのような測定を実施することは不可能である。そこで、ICRUは、サーベイメータや個人モニタにより実際に測定可能であり、かつ実効線量を安全側に評価できる量として実用量を導入した。実効線量を安全側に評価しているため、放射線管理上は、サーベイメータによる測定値が線量限度等の基準値を下回っていれば、放射線場が実効線量による基準値を下回っていることになっている。そのため、空間線量率サーベイメータ等の測定器は、周辺線量当量への換算係数にエネルギー応答関数が対応するように校正されている。 周辺線量当量は以下のように定義される。 まず、整列・拡張場を考える。すなわち、空間のある一点を測定することで体積を有する人体の被ばく線量を評価可能(拡張場)と仮定し、同時に、サーベイメータ等の感度は放射線の入射方向に依らずほぼ一定であることからすべての放射線が同一方向からくる(整列場)と仮定する。次に、この整列・拡張場にICRU球を置く。これにより、方向以外はすべて実際の場と同じ条件の放射線が、ICRU球全体に一様にかつ一方向から入射することになる。このとき、整列場の方向、すなわち入射方向に対向する半径上の深さ10mmにおける線量当量が周辺線量当量H*(10)である。単位はシーベルト(Sv)を用いる。光子による自由空気中空気カーマから周辺線量当量への換算係数(ICRP Pub. 74, 表A.21)を使うことで光子による吸収線量から周辺線量当量を計算でき、単位中性子フルエンスあたりの周辺線量当量への換算係数(ICRP Pub. 74, 表A.42)を使うことで単位中性子フルエンスから周辺線量当量を計算できる。 なお、個人モニタリングのための実用量は、個人線量当量として別途定義されている。 許可申請で用いられる実効線量は、放射線障害防止法に関係する告示「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」に記載されている実効線量への換算式E=fxxD(光子の場合)やE=fnxφ(中性子の場合)を用いて計算される。この換算式中の係数は、同法令中別表5(光子)及び別表6(中性子)に掲載されている。 |
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図表 | 図1 周辺線量当量の概念図 図2 線量当量指標HIの模式図 |
参考文献 | ・DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所) ・ICRP, 外部放射線に対する放射線防護に用いるための換算係数, Publication 74(1998) |
参照サイト | ・原子力規制庁 放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号) https://www.nsr.go.jp/data/000045581.pdf |
作成日 | 2018/02/28 |
更新日 |
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