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大分野 | 影響 |
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中分野 | |
タイトル | 遺伝的不安定性 |
説明 | 細胞が放射線に曝露されて起こる初期の影響が残存し、放射線被ばく後の時間を経た後も遺伝子の安定性が欠如された状態のこと。 放射線にあたった細胞は、線量に応じて様々な応答を示すことが知られている。低線量被ばくの細胞では、DNA修復系により効率良く損傷DNA修復の対応がなされ、中線量域では、十分に時間をかけて修復する場合と、DNA損傷度に応じて修復不能と判断された場合にアポトーシス誘導による排除がなされる場合がある。ただ、中線量域の応答の中には、排除されるべき細胞がDNA損傷を有したままで損傷乗り越え修復系等の働きにより、分裂増殖することがあり、結果として細胞内の変異頻度の上昇を伴う遺伝的不安定性が誘導される。 従来、発がんはDNAに生じた突然変異が直接の原因であると考えられていたが、1990年代半ば以降の研究の成果によって、不完全なDNA複製や損傷を受けた際の修復のミスによって生じた遺伝子の不安定性(遺伝的不安定性)が、細胞分裂を経て蓄積され、その結果引き起こされた遺伝子変化が発がんの原因である可能性が明らかになってきた。放射線を照射した細胞では、生き延びた細胞の中に遅延性の影響(増殖能やコロニー形成能の低下)が見られることが古くから知られている。またある種の造血系細胞では照射後数世代分裂を経た後に、遺伝的不安定性が原因であると考えられる染色体不安定性(安定型染色体異常の増加)が観察されており、放射線発がんとの関連性が示唆されている。 |
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参考文献 | DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所) |
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作成日 | 2019/03/01 |
更新日 |
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