提供: SIRABE
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問 | 生活環境における被ばく線量が変わる要因には何がありますか?それによって発ガンのリスクも変わりますか? |
答え | 生活環境において、私たちは自然放射線を被ばくしています。自然放射線による被ばくには、1)大地に含まれる放射性物質による外部被ばく、2)大地に由来する空気中の放射性物質(主にラドン)を吸引することによる内部被ばく、3)食品に含まれる放射性物質を摂取することによる内部被ばく、4)宇宙から飛来する放射線(宇宙線)による外部被ばく、があります。 大地に含まれる放射性物質の量は、地質によって異なります。土や砂、石など、家屋の建材にも、大地由来の放射性物質が含まれています。 ラドンは、地中に広く存在するラジウムが、放射性崩壊することで生じる気体です。家屋の構造によっては、屋内での濃度が高くなり、内部被ばく線量も高くなります。日本家屋は通気性が良く、ラドンが速やかに屋外に拡散する為、平均的な日本人のラドンによる内部被ばくは、世界平均よりも低くなっています。 平均的な日本人の食物からの内部被ばくは、世界平均よりも高い傾向にあります。これは主に、ラドンがさらに放射性崩壊して生じる放射性の鉛やポロニウムによるもので、魚介類に比較的高濃度に含まれています。ほとんどの食品に含まれるカリウムの0.01%は放射性で、内部被ばくの要因のひとつです。しかしながら、体内のカリウム濃度は一定に保たれており、食生活が変わっても放射性カリウムによる内部被ばく線量は増えたり減ったりしないと考えられています。 大気中の酸素原子や窒素原子には、宇宙線を遮蔽する作用があります。そのため、富士山頂のような標高の高い場所では宇宙線による被ばく線量がいくぶん高くなります。飛行中の航空機内では、さらに高くなります。 自然放射線による個人の被ばく線量は、居住もしくは滞在する場所、食習慣、行動形態などのライフスタイルによって異なります。日本では平均で年間2.1 mSv, 世界平均は年間2.4 mSvと報告されています。この程度の低い線量で、発がんリスクが増加するかどうかはわかっていません。世界には、大地に含まれる放射性物質が多い為に、自然放射線が日本より何倍も高い地域がありますが、これまでのところ、がんの死亡率や発症率の顕著な増加は報告されていません。 一方、放射線による発がんリスクも、被ばくする人の食生活、喫煙などの生活習慣などを含めたライフスタイルに左右されることが知られています。例えばラドンによる肺がん誘発のリスクは常時喫煙者(1日20本以上)では非喫煙者の数倍高くなることがわかっています。 |
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参考文献 | DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所) |
関連サイト | 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成29年度版) |
作成日 | 2019/02/28 |
更新日 |
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