提供: SIRABE
大分野 | 防護(放射線管理・規制を含む) |
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中分野 | 防護体系 |
タイトル | 潜在被ばく |
説明 | ICRP 2007年勧告[2009]では「確実に生じるとは予想できないが、線源の事故又は機器の故障及び操作上の過失を含む確率的性質を持つ単一事象又は一連の事象により生じるおそれのある被ばく」と定義されている。 潜在被ばく(potential exposure)は、放射線被ばく(ICRP 2007年勧告では「計画被ばく」)を二つに分けたとき、通常被ばく(normal exposure)と対になる概念として、ICRPが1990年勧告で導入した概念である。 導入当時は潜在被ばくは「被ばくが起こる可能性はあるが、起こることは確実でない」ような被ばくをいうと定義している。ICRPはさらに説明して「潜在被ばくは、起こることが確実ではないが、ある行為を導入し又は変更した結果として起こることが予期でき、発生確率を定めることができる被ばく」としている(ICRP Publication 64 [1994])。 潜在被ばくの概念の導入には1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故の反省、及び原子力工学的安全性の考え方が反映されている。潜在被ばくについても、線源関連の制限値が存在し、リスク拘束値と呼ばれる。 リスク拘束値の適用において、リスクは事故などの安全でない状況の発生確率に、その結果生じる線量により生じる健康リスクを乗じて求めるが、ICRPは平均年間職業被ばく線量である5mSvに関連つけられる致死がんの確率に相当する年間2×10-4という包括的なリスク拘束値を勧告している。公衆被ばくについてのリスク拘束値は、年間1×10-5を勧告している。(ICRP 2007年勧告)職業被ばくの場合、発生確率が、100分の1であるような事象については、線量基準を500mSvに設定することで、リスク拘束値を満たせることになる。ICRP 2007年勧告では、計画被ばくにおける最適化は、潜在被ばくについても被ばくの発生確率をも合理的に達成できる限り低く抑えることを明記しているので、設計段階や操業段階の両方において、潜在被ばくの状況が起こる発生確率を下げるような防護措置を講じることを求めている。 |
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参考文献 | ・ICRP, 国際放射線防護委員会の1990年勧告, Publication 60 [111] (1991) https://www.icrp.org/docs/P60_Japanese.pdf ・ICRP, 潜在被ばくの防護:概念的枠組み, Publication 64 [2](1994) https://www.icrp.org/docs/P64_Japanese.pdf ・ICRP, 国際放射線防護委員会の2007年勧告, Publication 103 [268] (2009) https://www.icrp.org/docs/P103_Japanese.pdf |
参照サイト | |
作成日 | 2017/10/16 |
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