提供: SIRABE
大分野 | 防護(放射線管理・規制を含む) |
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中分野 | |
タイトル | 放射線白内障を防止するための水晶体等価線量限度の変遷と最近の規制動向 |
説明 | 放射線白内障は、実験動物では1897年、ヒトでは1903年から報告されていた。しかし、1940年代後半になり、加速器の作業者と原爆被爆者において白内障が認められたことを受けて、ICRPは、1950年に放射線白内障を放射線影響に初めて含めるとともに、1954年に水晶体への最大許容線量を初めて勧告した。その後、ICRPは、放射線白内障を、しきい線量型の線量応答を示す組織反応(かつての確定的影響、非確率的影響)に分類し、その発症を防ぐために、視覚障害性白内障に対するしきい線量に基づいて水晶体への等価線量限度を設けてきた。ICRPは、1980年から放射線作業者への水晶体等価線量限度を150 mSv/年と勧告してきたが、それを5年平均20 mSv/年(かつ単年で50 mSv未満)に引き下げる組織反応に関する声明(ソウル声明)を2011年に発表した。このような線量限度の変更は、ソウル声明によって、根拠となる視覚障害性白内障に対するしきい線量が、従来の>8 Gyから0.5 Gyに引き下げられたためである。この新たなしきい線量は、被ばく後>20年に発症する視覚障害性白内障に対して、被ばくの線量率によらず0.5 Gyとされている。現在、ICRPが等価線量限度を勧告しているのは、水晶体、皮膚と手足に対してだけである。 ICRPの新たな放射線作業者への水晶体等価線量限度の勧告を受けて、日本では、2013年度から2016年度に日本保健物理学会に設置された専門研究会が水晶体の放射線防護と線量限度に関連する課題等を整理・検討し、2017年度に放射線審議会に設置された「眼の水晶体の放射線防護検討部会」が線量限度の法体系への取り入れに向けた具体的検討を実施した。その結果、2020年度に改正の省令等が交付され、2021年度から施行される予定である。 |
キーワード | ICRP、日本保健物理学会 |
図表 | |
参考文献 | 赤羽恵一ら、水晶体の放射線防護に関する専門研究会中間報告書( I )水晶体,白内障,ICRP が勧告した新たな水晶体等価線量限度の概要、保健物理、49 (3), 145 - 152 (2014) |
参照サイト | 眼の水晶体に係る放射線防護の在り方について https://www.nra.go.jp/data/000226076.pdf |
作成日 | 2020年12月 |
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