提供: SIRABE
大分野 | 影響 |
---|---|
中分野 | |
タイトル | 原爆白内障について |
説明 | 白内障は眼の透明な水晶体が混濁して視力低下をきたす病気である。白内障を起こす原因は多いが、放射線による被ばくもその一つである。放射線白内障は電離放射線の種類に関係なく、水晶体には同じような形態学的変化(水晶体の後極部後嚢下部に初発する混濁)を起こす。水晶体に放射線白内障に類似した混濁を生じるのは、網膜色素変性症などに併発する白内障、老人性白内障などがあり、鑑別が必要である。原爆被爆者における放射線白内障は、被爆後数か月から数年して発生し、被ばく線量が大きいほど白内障発生までの潜伏期は短く、頻度も高い傾向にある。放射線誘発白内障のしきい線量は急性被ばくに対しても分割被ばくに対しても約0.5Gyと考えられるというのがこれまでの一般的な見解であるが、しきい値はないとする報告もある。 原爆白内障の臨床像は、原爆以外の放射線による白内障とよく似ている。水晶体の後極部後嚢下に限局する混濁があっても、被ばくしていない人にも同じような変化がみられることもあるので鑑別診断が必要である。原爆白内障の診断基準は、 (1)細隙灯顕微鏡検査で後極部後嚢下混濁に色閃光(虹色の多色性反射)がみられ、後嚢下とその少し前方の点状ないし塊状混濁が2層(2枚貝様)の混濁を形成していること、 (2)原爆直接被爆歴があること、 (3)原爆以外の相当量の放射線を受けていないこと、 (4)併発白内障をおこす可能性のある眼疾患がないこと、 以上の4条件を満たす必要がある。 |
キーワード | |
図表 | |
参考文献 | DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所) 放射線被曝者医療国際協力推進協議会 編、原爆放射線の人体影響 改訂第2版、文光堂、東京、402p(2012) |
参照サイト | https://www.rerf.or.jp/programs/roadmap/health_effects/early/cataract/ 公益財団法人 放射線影響研究所 これまでの成果と今後の研究「放射線白内障(水晶体混濁)」 https://www.nsr.go.jp/data/000226076.pdf 放射線審議会 眼の水晶体の放射線防護検討部会 眼の水晶体に係る放射線防護の在り方について(平成30年2月) |
作成日 | 2019/03/01 |
更新日 |
カテゴリ: