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分野
「低線量」とはどれくらいの線量を指すのでしょうか。
答え 「低線量」は、報告書によって指す線量が異なっています。
ICRP1990年勧告においては、(74)に低線量・低線量率に対して用いられる線量・線量率効果係数の適用される範囲を「0.2Gy以下注1の吸収線量(以下略)」としていますので、0.2Gy以下の範囲と考えられます。UNSCEAR2000年報告も同じ線量を使っていますが、ICRP2007年勧告、BEIR VII報告、UNSCEAR2006年報告では、約100mSv以下注2としています。

注1:ICRP1990年勧告の(B53)には「(前略)大部分のヒトの情報はもっと高い線量域(0.1ないし0.2Gyかそれ以上)で得られており、より低い線量で有意な結果が観察されるのは例外にすぎない。しかし、日本からのデータには低線量に被ばくした多くの個人が含まれており、結局はこれらのデータが低線量における重要な情報を与えるだろう」と記載されている。この文脈からは低線量を「0.1Gy未満または0.2Gy未満」と考えていることが言える。
注2:ICRP2007年勧告では、(64)に「放射線防護の目的には、基礎的な細胞過程に関する証拠の重みは、線量反応データと合わせて、約100mSvを下回る低線量域では、がん又は遺伝性影響の発生率が関係する臓器及び組織の等価線量の増加に正比例して増加するであろうと仮定するのが科学的にもっともらしい、という見解を支持すると委員会は判断している。」との記載がある。
またUNSCEAR2006年報告では附属書Aの表6低LET放射線被ばくによるがんリスク評価における低線量の範囲を定義する基準として、本報告書はLSSのデータへの当てはめで支配的な直線項を推定の根拠として低線量の範囲の上限値を100mGyとしている。
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図表
参考文献 ・改訂版(虎の巻)低線量放射線と健康影響(放射線医学総合研究所 編著)
関連サイト ・ICRP, 国際放射線防護委員会の1990年勧告, Publication 60 (1991)
https://www.icrp.org/docs/P60_Japanese.pdf
・ICRP, 国際放射線防護委員会の2007年勧告, Publication 103 (2009)
https://www.icrp.org/docs/P103_Japanese.pdf
作成日 2018/02/28
更新日