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大分野 影響
中分野
タイトル 骨肉腫
説明 骨肉腫は、骨に発生する比較的まれな悪性腫瘍であり、10 - 30歳までの小児、若年者に多く発生するが、成人や高齢者でも少ないながら発生が観察される。特に膝周辺に好発する。以前は患部を切断をしていたが人工骨や骨の移植により四肢を温存する治療を行うことが増えてきた。肺転移を生じる可能性が高く、発見時にはすでに80%の患者には微小な転移があると言われているため、診断がついたら早く化学療法を行うことが必要である。最近では、骨肉腫と診断された人の約60 - 75%は長期生存が可能となっている。転移がない場合は、完全寛解(ほぼ治った状態)に入る人が80%近くおり、良い治療成績となっている。肺に転移していた場合の5年生存率も約50 - 70%と改善している。一般に、骨肉腫では放射線治療はほとんど行われないが、現在では骨肉腫を含む切除不能骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療も行われている。
放射線発がんという観点からは、時計文字盤をラジウムを含む蛍光塗料でかたどる作業に従事していた人たちが、蛍光塗料をつけた小筆を口で舐めることによって体内に取り込まれたラジウムが骨に沈着し、ラジウムから放射されるα線によって骨肉腫が誘発されたことが、1931年に初めて報告された。それ以外には、がん治療のために、少量のラジウムを体内投与された患者や、局所的に高線量のX線を照射された患者に骨肉腫が見つかった例があるが、原爆被爆者では骨肉腫の有意な発生の増加は認められていない。実験動物では、新生児期に放射線照射されたマウス、あるいはラジウム(Ra)、ストロンチウム(Sr)、プルトニウム(Pu)等を注入されたマウス、ラット、イヌ等に人で見られるのと同様の骨肉腫が誘発されることが知られている。このときには発がんの線量効果関係にしきい値が認められる。
キーワード
図表
参考文献 DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所)
参照サイト https://www.nirs.qst.go.jp/hospital/pdf/proceedings_j.pdf(2018年9月30日確認)
作成日 2019/03/01
更新日