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問 | 放射線により誘発されやすいがんとされにくいがんはあるのでしょうか? |
答え | 放射線被ばくの生体影響の出方は、組織や臓器の感受性によって異なるので、結果として、放射線によって誘発されやすいがんと、されにくいがんがあることになります。 原爆被爆者におけるがん誘発の程度を組織・臓器毎に詳細に調べた結果から、乳腺、肺、結腸などは、放射線に高感受性で、がんが発生しやすい組織・臓器であることがわかりました。 放射線に対する組織や臓器の感受性を基に、がんの出やすさを重み付けした数値が組織加重係数(表1)として示されました。放射線の人体への影響は性別、年齢など、さまざまな要因で異なりますが、放射線防護の観点から、組織加重係数は、両性及び全ての年齢について平均され、人に対する平均値として示されたものです。この係数は、放射線の人への影響を評価する目的で、被ばくに起因する確率的影響を相対的に理解するために、組織や臓器に当てられている放射線感受性を示す数値といえます。 組織加重係数は、ICRP Pub.103において組織・臓器の放射線感受性によって4つの群に分けられています。例えば、乳房や骨髄(赤色)、結腸、肺、胃の組織加重係数は0.12、生殖腺は0.08、膀胱や肝臓、食道、甲状腺は0.04、皮膚や骨表面、脳、唾液腺は0.01です。これら以外の残った組織や臓器はすべてまとめて0.12としているので、全身の組織・臓器の係数の総和は1となります。 |
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図表 | 表1 ICRPによる組織加重係数 |
参考文献 | DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所) |
関連サイト | ・ICRP, 国際放射線防護委員会の2007年勧告, Publication 103 表3(2009) |
作成日 | 2019/02/28 |
更新日 |
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