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大分野 影響(生体応答・生物影響・健康影響を含む)
中分野 細胞・組織・個体レベルの影響
タイトル 環状染色体
説明 1本の染色体に生じた2つの染色体切断端が、誤って環状に再結合した場合に形成される染色体異常である。2つの切断端の再結合が動原体を挟んだ染色体腕間で起きた場合は動原体性環状染色体と断片が形成され、また、2つの切断端の再結合が染色体腕内で起きた場合は無動原体性環状染色体と中間部欠失染色体が形成される。環状染色体は、染色体異常の中でも放射線に特異性が高く、形態的に識別しやすく数え落としが少ないために、二動原体染色体とともに被ばく線量推定の生物学的指標として使用される。環状染色体の線量当たりの出現頻度は二動原体染色体より低い。被ばく線量推定には、全血、または分離リンパ球を用いる。これらをリンパ球分裂刺激剤と紡錘糸形成阻害剤を添加した培地中で48時間培養して染色体標本を作製し、ギムザ染色後に顕微鏡下で分裂中期像を観察して二動原体染色体と環状染色体の出現頻度から被ばく線量を推定する。この方法は、現在も信頼性の高い被ばく線量の生物学的評価法として使われている。環状染色体は、不安定型染色体異常に分類され、その形態的特徴から分裂後期に架橋を形成して分裂障害を引き起こすため、それを有する細胞は分裂ごとに消失していく。したがって、リンパ球の放射線誘発環状染色体出現頻度を正しく評価するためには、被ばく後、第1回目の分裂期で染色体を観察することが重要である。
キーワード 染色体異常
図表 図1 環状染色体
参考文献
参照サイト
作成日 2020/12/01
更新日