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タイトル サンサルバドルの放射線被ばく事故
説明 サンサルバドルの産業用の照射施設で作業員3名が誤侵入し、高線量被ばくをした。1名は推定8.1Gyを被ばくし6か月半後に死亡した。

エルサルバドル共和国の首都、サンサルバドルに産業用の照射施設((60Co)線源)が1974(昭和49)年に建設され、1975年から運転を開始した。照射装置は、カナダ原子力公社(Atomic Energy of Canada Ltd.)製の JS6300型照射装置である。1989(平成元)年2月5日にこの照射施設で被ばく事故が発生した[事故時の 60Co 線源の放射能は18kCi(0.66PBq)であった]。この日は、医療用品の滅菌照射を行っていた。照射中に、54本のペンシル型60Co線源(直径1.11cm×長さ45.2cm)を27本ずつ2段に積み上げた線源ラックが所定の位置から低下し、警報が発生した。そこで、作業員は手動で線源ホイスト(線源昇降装置)を操作し、線源ラックを格納して照射物等の点検を行うため照射室のドアロックを強制的に解除し、作業員A、B、Cの3名が入室した。しかし、実際には線源昇降ケーブルが照射箱のガイド棒に引っかり線源ラックは格納されていなかった。このため、作業員は全員、脚及び足に高線量を被ばくし、脚及び足は放射線熱傷となり、造血臓器、胃腸管等に障害を受けるなどの、急性放射線症を示した。最も被ばくした作業員Aは6か月半後に死亡した。作業員B、Cの両脚は潰瘍となり膝の上から切断した。メキシコ市のAngels del Pedregal Hospital及び米国オークリッジ国立研究所の緊急時対応センター(Radiation Emergency Assistance Center/Training Site, REAC/TS)で、リンパ球の染色体異常の頻度調査から被ばく線量が評価された。両機関の線量評価値は良く一致しており、推定全身被ばく線量の平均値は作業者A、B、Cについてそれぞれ8.1、3.7、2.9Gyであると評価された。
キーワード 被ばく事故、60Co、急性放射線症
図表
参考文献 DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所)
参照サイト The Radiological Accident in San Salvador,IAEA,1990,STI/PUB/847 https://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub847_web.pdf
作成日 2019/03/01
更新日