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分野
チェルノブイリ原発事故による被ばくの影響は、子どもの甲状腺がん以外に確認されていないのでしょうか
答え チェルノブイリ原発事故では、汚染された牛乳の摂取による放射性ヨウ素による被ばく等で、子どもに小児甲状腺がんが増加しました。しかし、固形がん、白血病など他の疾病については、チェルブイリ原発事故などとの因果関係は確認されていません注1。

他方で、避難先での住環境や人間関係等に適応できないことによる精神的なストレスと生活習慣の悪化等による悪影響も報告されています。また、事故や被ばくの恐怖によるストレスの影響や長期間の補償への依存による自立心の喪失等も問題となっています。
WHO報告書等では、こうしたメンタルヘルス面が強調されるあまり、身体的影響に関してなおざりになり、汚染地域由来の食品への警戒を弱め、今後の調査研究を妨げる原因になっているという批判もあります。ウクライナのRivne州のポーランド系住民は、汚染地域で野イチゴやキノコを採り、狩りや漁をして暮らしていますが、彼らの間で神経管欠損が増えているという報告があります。しかし神経管欠損は葉酸欠乏や母親の飲酒によっても起こることや近親婚の影響も疑われていることから、Rivne州の神経管欠損がチェルノブイリ事故由来の放射線によるものであると結論づけられてはいません。

 注1:ウクライナ国家25周年レポート等、事故による疾病の増加を主張する見解もありますが、UNSCEARやWHO等では妥当性が認められていません。
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図表
参考文献 Wertelecki, Pediatirics, 125, e836,(2010) https://doi.org/10.1542/peds.2009-2219
Holt, Lancet, 375, 1424-1425, (2010) https://doi.org/10.1016/S0140-6736(10)60605-8
関連サイト 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成28年度版)
第3章 放射線による健康影響
3.8 こころへの影響 奇形誘発に関する知見−チェルノブイリ原発事故−
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/attach/201703mat2-03-64.pdf
作成日 2018/02/28
更新日