提供: SIRABE
大分野 | 影響 |
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中分野 | |
タイトル | DS86、DS02 |
説明 | 原爆放射線の人体影響を調べるために被爆者個人の被ばく線量を推定する方式。 最新のものがDS02で、その改良前のものがDS86。 ABCC(原爆傷害調査委員会。後の放射線影響研究所)では被爆者個人の被ばく線量を推定するための継続的な研究が行われてきた。 最初に1957年暫定線量(T57D)が1957(昭和32)年に開発されたが推定精度が悪く、実質的には1965(昭和40)年にT65Dと呼ばれる線量推定方式が開発され、米国ネバダでの原爆実験のデータをもとに、被爆距離、遮蔽状態のデータから被ばく線量が推定され、人体影響の評価ができるようになった。 しかしその後、T65Dにも疑念が生じ、日米共同の再評価に基づき1986(昭和61)年に新たにDS86線量が推定された。DS86線量はT65D線量に比べて広島の空中線量では中性子線量が低くγ線量が高い。長崎ではγ線量はほとんど変わらない。γ線の家屋透過係数はDS86ではT65Dよりも低いが、臓器透過係数は逆に高い。 DS86発表後に、広島の場合、特に1.5 ㎞以遠のところで、中性子による放射化物の測定値とDS86の計算値が合わないことが指摘され、見直しが行われた結果、2002(平成14)年にDS02線量が誕生した。測定値と計算値の不一致は爆発高度を20m高くすることで解決した。放射化物測定精度の向上により1.5 kmまでの測定値は計算値とよく一致した。DS02では、DS86に比べ被曝線量の推定精度は向上したが、大局的にはDS86の推定値と大きく変わるものではない。2018年現在、放射線影響研究所で健康リスク評価のため使用されているのはDS02である。 |
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参考文献 | DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所) 放射線被曝者医療国際協力推進協議会 編、原爆放射線の人体影響 改訂第2版、文光堂、東京、402p(2012) |
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作成日 | 2019/03/01 |
更新日 |
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