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分野
疫学で「低線量(<100mSv)によるがんリスクがある」ということを示すためには、最低限どのくらいの調査者数が必要でしょうか
答え 100mSv未満の低線量放射線への被ばくによるがんリスクを疫学研究で明らかにするためには、最低数千人から数万人の対象者を調査する必要があり、この人数は被ばく線量(予想されるリスク増加の程度)に大きく依存します。

被ばくによって増加するがんリスクが、線量と比例関係にあると仮定し、それを統計学的に有意に検出するために 必要な対象者数は、おおまかに被ばく線量の2乗の逆数に比例します。例えば、被ばく線量が半分になると必要な対象者数は約4倍になり、被ばく線量が10分の1になると、対象者数は約100倍になります。

ICRPのPublication 99では、この統計学的検出力の問題について議論を行っています。わかりやすい例題として、仮に被ばくがない場合のがんの死亡リスクが10%で、被ばくによる過剰死亡リスクが1Gy当たり10%である時、被ばく群と非被ばく群における死亡リスクの差を検出力80%、有意水準5%の片側検定で検出するために必要な調査対象者数は、100mGyの被ばくで約6400人、10mGyの被ばくで約62万人、1mGyの被ばくで約6180万人と試算しています。予想される線量当たりのリスク増加が上記の半分である場合、リスク増加を検出するために必要となる対象者数は上記の約4倍になります。
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図表
参考文献 ICRP. 放射線関連がんリスクの低線量への外挿, ICRP Publication 99,〔45〕 2005、
・改訂版(虎の巻)低線量放射線と健康影響(放射線医学総合研究所 編著)
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作成日 2018/02/28
更新日