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タイトル 標的説
説明 細胞内にある放射線に感受性の高い構造体に傷ができることで、細胞の死や障害が引き起こされるという放射線影響の誘発メカニズム仮説。この構造体を標的と呼び、標的の傷をヒットと呼ぶ。

この説に従えば、低線量でもある程度の致死作用が認められ、逆に高線量でも生き残る細胞が存在するという、放射線特有の確率論的な致死作用が説明できる。ファージ等の片対数グラフの上で直線的な生存率曲線も、培養細胞等の肩のある生存率曲線も、細胞死を起こすに必要な標的数の違いによって説明することが可能であるが、標的の実態は明らかではない。
なお、平均して標的に1個のヒットを生じさせる線量をD0と呼ぶ。D0は、「生存曲線が指数関数で変化する部分で、生存率が63%減少するに要する線量」とも定義される。
ICRP Pub.118では「多標的モデルの数式のパラメータ:生存率曲線の指数部で、生存率を前の値のe^-1(つまり0.37)に減らす放射線量」と定義している。
キーワード
図表 生存率曲線
参考文献 DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所)
立花章、細胞死の解析(標的説・L-Qモデル)、新版「放射線医科学:生体と放射線・電磁波・超音波」 大西武雄 監修、医療科学社、東京、p26-28(2016)
近藤宗平、分子放射線生物学 : 放射線は生命にどうはたらくか 、学会出版センター、東京、p64(1981)
青山 喬、放射線生物作用の一般的特徴、放射線基礎医学 第11版、菅原努監修、金芳堂、京都、143-153(2008)
・ICRP, 組織反応に関するICRP声明/正常な組織・臓器における放射線の早期影響と晩発影響 -放射線防護の視点から見た組織反応のしきい線量-, Publication 118 (2017)
参照サイト
作成日 2019/03/01
更新日