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大分野 放射線防護
中分野
タイトル 天然放射性核種(自然放射性核種)
説明 約45億年前の地球創生期から存在しあるいはその子孫核種として現在も地球上に存在している放射性核種と宇宙線により地球を取り巻く大気との核反応で生成している放射性核種を合わせていう。自然放射性核種ともいう。地球創生期から存在している放射性核種には壊変により単独で存在し放射壊変系列を作らない核種と放射壊変系列を作る核種とがある。前者は一次天然放射性核種ともいい、物理学的半減期(Tr)の長い長寿命核種で、カリウム40(40K)(Tr=1.28×10^9年)、ルビジウム87(87Rb)(Tr=4.8×10^10年)など約15種類が知られている。後者は原子番号80から93の元素の核種から構成される、トリウム232(232Th)(Tr=1.405×10^10年)を先祖核種とするトリウム系列、ウラン238(238U)(Tr=4.468×10^9年)を先祖核種とするウラン系列、ウラン235(235U)(Tr=7.038×10^8年)を先祖核種とするアクチニウム系列の3系列が知られている。放射崩壊系列にはもう一つネプツニウム237(237Np)(Tr=2.14×10^6年)を先祖核種とするネプツニウム系列があるが、先祖核の半減期が短いため自然界に存在しない。原子番号が92以上の元素で起こる自発核分裂による生成核種と壊変系列の比較的短寿命の子孫核種を合わせて二次天然放射性核種という。
宇宙線には宇宙空間に存在する一次宇宙線と呼ぶ10^8 eV程度以上の高エネルギーを持ち、陽子及びその1/10以下のリチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)の原子核、1/100程度の電子及び僅かな割合の光子から成る成分の放射線と、一次宇宙線が大気中で作る二次宇宙線と呼ぶμ粒子(ミュオン)及びその約1/3の電子(陽電子を含む)、さらに僅かな割合の中性子から成る成分の放射線がある。 この一次宇宙線が高層大気中の酸素(O)、窒素(N)、アルゴン(Ar)など空気の組成元素核種と衝突することによる核反応(破砕反応)及び二次宇宙線で発生した中性子による核反応((n,γ)、(n,p)、(n,t)反応など)で放射性核種が生成する。7Be、10Be、ナトリウム22(22Na)、ケイ素32(32Si)、リン32(32P)、硫黄35(35S)などは破砕反応で生成する。一方、トリチウム(3H)、炭素14(14C)、33P、塩素36(36Cl)などは中性子との核反応で生成する。この両者のように自然の核反応で生成する核種を誘導天然放射性核種という。
キーワード
図表
参考文献 DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所)
参照サイト
作成日 2019/03/01
更新日