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分野
動物実験で自然死に至るまで飼育して放射線の影響を調べることがありますが、そのとき別の病気が発生して、見かけ上調査対象の病気の発生率が低くなる結果になってしまうことはないのでしょうか?
答え 動物実験において、動物群を自然死に至るまで飼育・観察し続ける手法を終生飼育実験と言います。終生飼育実験で、すべての個体の死因を分別する場合、全死因の合計は、当然100%になりますが、放射線照射により、無処置動物群と比較してある死因の割合は増加し、別の死因の割合は減少します。例えば、組織球性リンパ腫が多発するマウスに放射線を照射すると、組織球性ではないリンパ腫が早期に多発して死亡するため、寿命は短縮しますが、ご質問の通り、遅発性の組織球性リンパ腫による死亡率は減少します。終生飼育実験は、放射線の寿命短縮効果や放射線によって発生する疾病の種類や発生時期を明らかにするための重要な研究手法ですが、実施に要する時間と費用が多大であり、また実験動物の種類や系統、放射線の種類や量によって発生する疾病や死因が異なるため、データの共有と人の放射線防護の観点を踏まえた包括的な比較、議論が必要です。
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図表
参考文献 DRESA「低線量放射線安全評価データベース」(2000年度制作 企画:文部科学省 制作:日本原子力研究所)
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作成日 2019/02/28
更新日