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大分野 線源(計測・評価を含む)
中分野 元素・放射性核種
タイトル 壊変系列、崩壊系列
説明 不安定な原子核、例えば原子番号の大きい元素の原子核や中性子が過剰な原子核は、自発的に放射線を出し原子核をわずかに変化させることにより安定な原子核となる。この現象を放射性壊変と呼ぶ。一度の放射性壊変だけでは安定な元素とならない核種があり、その様な核種は安定な原子核となるまでに放射性壊変を繰り返す。ある特定の核種が一連の放射性壊変の過程で生成する核種は同じ核種をたどり系列を構成することから、壊変系列あるいは崩壊系列と呼ぶ。

天然の放射性核種で壊変系列を作るものは1)トリウム系列、2)ウラン系列、3)アクチニウム系列、及び4)ネプツニウム系列がある。但し、ネプツニウム系列の最初の核種である237Npは半減期が214万年と短いため、地球生成から46億年を経た現在では天然のネプツニウムは痕跡レベルでしか存在しない。そのため、この系列は消滅天然放射性核種である。


トリウム系列は、232Thから壊変が始まり、6回のα壊変と4回のβ-壊変を繰り返し、最後は鉛の安定同位体208Pbとなるものをいう。この系列に属する各核種の質量数は4で割り切れるので4n系列とも呼ばれる。

ウラン系列は、238Uから壊変が始まり8回のα壊変と6回のβ-壊変を繰り返し、最後は鉛の安定同位体206Pbとなるものをいう。この系列に属する各核種の質量数は4で割ると2余るので4n+2系列とも呼ばれる。
アクチニウム系列は、235Uから壊変が始まり7回のα壊変と4回のβ-壊変を繰り返し、最後は鉛の安定同位体207Pbとなるものを言う。この系列に属する各核種の質量数は4で割ると3余るので4n+3系列とも呼ばれる。
ネプツニウム系列は、237Npから壊変が始まり8回のα壊変と4回のβ-壊変を繰り返し、最後はタリウムの安定同位体205Tlとなるものをいう注。この系列に属する各核種の質量数は4で割ると1余るので4n+1系列とも呼ばれる。
内部被ばくにおける線量係数は崩壊してできる子孫核種による被ばくも考慮に入れている。(ICRP Publication 30 part1 [1980])

注:長い間ネプツニウム系列の最後はビスマスの同位体209Biとされていたが、2003年にα崩壊することが発見され、現在では、205Tlが最後の安定同位体とされている。
キーワード
図表
参考文献 ・ICRP, 作業者による放射性核種の摂取の限度 Part 1, Publication 30, Part1 p.32(1980)
https://www.icrp.org/docs/P30-1_Japanese.pdf
参照サイト
作成日 2017/10/16
更新日